光老化を意識するならパプリカエキス配合化粧品
赤パプリカに特徴的なカロテノイドの一群、キサントフィル。なかでもカプサンチン・カプソルビンは、活性酸素(ROS)に対する消去能において、広く知られる抗酸化成分アスタキサンチンを上回ることが報告されています。シェルシュールは科学的エビデンスの評価を経て、このパプリカ由来キサントフィル(国内製剤:PapriX®)を一部製品の抗酸化成分として採用しています。
カロテノイドのなかでも、キサントフィルを選ぶ理由
カロテノイドは緑黄色野菜や藻類に由来する天然色素群で、750種以上が知られています。大きくカロテン(β-カロテン・リコピン等)とキサントフィル(カプサンチン・ルテイン・アスタキサンチン等)に分類されます。両者の最大の違いは末端基に酸素官能基を持つかどうかです。キサントフィルは分子の両端に親水性の官能基を持ち(親水–疎水–親水の構造)、脂質二重層の細胞膜に両端から固定される形で親和します。これがカロテン(全体が疎水性)に対するキサントフィルの機能上の優位性の根拠とされています。
カロテン類(約50種)
β-カロテン(ニンジン・パプリカ)、リコピン(トマト)、α-カロテンなどが代表例です。分子全体が疎水性の炭化水素骨格であるため、細胞膜内層に留まりやすく、膜全体への移行性は低い傾向があります。一重項酸素消去能はキサントフィル類に劣ることが報告されています。
キサントフィル類(約700種)― シェルシュールが注目する成分群
カプサンチン・カプソルビン(赤パプリカ特徴的)、ルテイン・ゼアキサンチン(緑黄色野菜)、アスタキサンチン(サーモン・紅麹)、β-クリプトキサンチン(温州みかん等)が代表例です。分子の両端に親水性の官能基を持つ親水–疎水–親水構造により、細胞膜への親和性が高く、抗酸化成分として膜レベルで機能します。一重項酸素消去能がカロテン類より顕著に高いことが報告されています。
※ カロテノイドの分類と構造特性についての参考:Nishino et al., J. Oleo Sci., 64, 1135–1142 (2015) など
カプサンチン・カプソルビンの抗酸化特性
赤パプリカのカロテノイドの約90%はキサントフィルで構成されており、その主成分がカプサンチンです。カプソルビン・ククルビタキサンチンAとともに、赤パプリカに特徴的な成分群です。これらは皮膚科学・食品科学領域の研究において、二種類の活性酸素に対する消去能が評価されています。
一重項酸素(¹O₂)消去能
β-カロテンを1とした比活性で、カプソルビン約32・ククルビタキサンチンA約26・カプサンチン約25と、アスタキサンチン(約20)を上回ることが報告されています。一重項酸素はUVB照射によって皮膚内で発生する活性酸素の一つです。
ヒドロキシラジカル(·OH)消去能
ヒドロキシラジカル消去能の比活性でも、カプソルビン約4・カプサンチン約3.4と、アスタキサンチン(約0.7)やβ-カロテン(1.0)を大きく上回ります。一重項酸素・ヒドロキシラジカルの両方を消去できる点が特徴とされています。
参考文献
Nishino et al. (2015) は、赤パプリカ由来キサントフィル(カプサンチン・カプソルビン・ククルビタキサンチンA)について、一重項酸素消去能およびヒドロキシラジカル消去能をβ-カロテンを基準として測定し、複数のキサントフィルがアスタキサンチンを上回る活性酸素消去能を示すことを報告しています。また、キサントフィルは細胞膜(脂質二重層)への親和性がカロテン類より高く、膜レベルでの活性酸素消去においてより機能しやすいと考えられています。
Nishino A, et al. Evaluation of antioxidant activities of paprika (Capsicum annuum) xanthophylls. J. Oleo Sci., 64(10), 1135–1142, 2015.
肌におけるROSと、外用の抗酸化成分
肌では、紫外線(UV)と乾燥という二つの要因を起点として、それぞれ異なる経路で活性酸素(ROS)が発生します。ROSは細胞膜の脂質を過酸化し、炎症性サイトカインを誘発することで、角層・表皮・真皮のさまざまな変化に関与することが知られています。
紫外線(UVB)起点のROS
UVBが皮膚に到達すると、一重項酸素(¹O₂)が発生します。これが炎症性サイトカインの産生を誘発し、真皮でのコラーゲン分解酵素(MMP)活性上昇、コラーゲン・エラスチンの分解へとつながることが知られています。
UVA・乾燥起点のROS
UVAや乾燥による角層バリア機能の低下は、ヒドロキシラジカル等のROSを発生させます。細胞膜脂質の過酸化(過酸化脂質の生成)を経てMMP活性が上昇し、コラーゲンの分解や表皮ヒアルロン酸の減少に関与することが報告されています。
抗酸化成分としての外用配合
外用スキンケアの抗酸化成分としてパプリカキサントフィルを配合することで、角層・表皮レベルのROS発生に対して抗酸化成分として働くアプローチです。シェルシュールが採用するPapriX®(グリコ栄養食品社製)を用いた外用ヒト試験(n=20、8週間)では、皮膚粘弾性(ハリ感)・角層カタラーゼ活性・使用感(しっとり感・うるおい)について、プラセボ塗布部位と比べた傾向差が観察されています。これらはあくまで試験における観察結果であり、特定の効果を保証するものではありません。
※ シェルシュールの「植物エキスフリー」の定義(○○エキスという名称の植物抽出物を含まないこと)では、パプリカキサントフィル(PapriX®)はエキスではなく精製・規格化された成分として区別されます。成分組成が明確で品質の一貫性が高い点が、エキスとの本質的な違いです。
よくあるご質問
- パプリカエキスは「植物エキスフリー」の製品に含まれますか?
- シェルシュールが採用するパプリカキサントフィル(PapriX®)は、赤パプリカから特定の成分(キサントフィル群)を抽出・精製・規格化した素材であり、「○○エキス」という名称の多成分混合物(植物エキス)とは区別されます。そのためシェルシュールの定義においては植物エキスには該当しません。ただし、パプリカキサントフィルを配合した製品は「植物エキスフリー」ラインには含まれていません。植物由来成分を一切避けたい場合は、製品ごとの全成分表示をご確認ください。
- パプリカアレルギーがある場合は使えませんか?
- パプリカやナス科の野菜に対してアレルギーをお持ちの方は、ご使用前に皮膚科医または担当医にご相談されることをお勧めします。パプリカエキス(カプサンチン/カプソルビン )は全成分表示に記載されておりますので、成分表示を確認の上ご判断ください。ご不明な点はお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
- パプリカキサントフィルは肌を赤く・黄色くしませんか?
- PapriX®-oil Cは深みのある赤色の原料ですが、化粧品製剤への配合濃度は低く設定されています。外用ヒト試験(8週間)においては、皮膚の明度(L*)・赤み(a*)・黄み(b*)の各指標において、使用前後で有意な変化は認められませんでした。通常の使用方法においてパプリカエキス由来の色素沈着は生じないと考えられています。
- アスタキサンチンとどう違うのですか?
- アスタキサンチンとカプサンチン・カプソルビンはともにキサントフィル類(カロテノイドの一群)に属する成分であり、分子の両端に親水性の酸素官能基を持ち、細胞膜に対して高い親和性を示す点が共通します。一重項酸素消去能の比較では、β-カロテンを1とした比活性でカプソルビン・ククルビタキサンチンA・カプサンチンはアスタキサンチンを上回ることが報告されています(Nishino et al., 2015)。一方でアスタキサンチンは食品・健康食品領域でのエビデンスが豊富であり、それぞれ研究の蓄積の文脈が異なります。